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法定相続人以外に対する遺贈を原因とする所有権移転登記手続について

2025.08.29 家族問題(相続・遺言、離婚)

 弁護士の樋口です。
 令和5年4月1日より、遺贈により不動産を取得した法定相続人(受遺者=登記権利者)は、単独で、所有権の移転の登記を申請することができるようになりました。令和5年4月1日より前に開始した相続により遺贈を受けた相続人(受遺者)についても、同様です。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001437206.pdf

 ですが、法定相続人以外の方が受遺者であった場合、単独では、所有権移転登記をすることができません。この場合、方法としては、以下の2つ、ございます。

1 法定相続人全員の任意の協力を得て進める
 法定相続人全員より、印鑑証明書や登記の委任状を取り付けることができれば、受遺者側で登記をすることができます。
 ただし、登記済証(権利証)原本又は登記識別情報通知書原本を紛失していた場合、法務局は、不動産登記法23条に基づき、法定相続人の方々全員に対し、「この登記の申請があったか間違いないか」の確認文書を送ります。そして、法定相続人の1人でも、上記確認文書に対する返送を怠り2週間経過した場合、登記は振り出しとなってしまいます。
 つまり、法定相続人全員の協力が期待できないと、この方法を選択しない方が良い、ということになります。

2 遺言執行者を選任して進める
 遺言執行者選任申立書を家庭裁判所へ提出し、裁判所に遺言執行者を選任してもらえれば、受遺者側と遺言執行者の2名で、所有権の移転登記を行うことができます。
 デメリットして、以下の2点が挙げられます。
 ・遺言執行者の報酬が発生すること。
 ・被相続人の相続財産の目録が、遺言執行者を介して、法定相続人全員へ交付されてしまうこと(民法1011条参照)。
 もっとも、遺言執行者を選任して進めた方が登記手続は確実ですので、上記デメリットを受け容れて、この方法を選択された方が良いと思います。