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犯罪被害にあった際の支援について

2020.12.07 刑事

1 はじめに
 突然,犯罪の被害に遭うことは決して他人事ではなく,誰もが突然そうした事態に見舞われる可能性があります。被害にあったという直接的被害のみならず,その影響による生活上の支障や,その他捜査協力やマスコミの取材等による二次被害の危険性なども存在しています。
そうした事態に遭遇した場合,支援をする団体や存在をご紹介したいと思います。

2 支援に関する各種団体 
① 警察による支援
 千葉県警察本部では,犯罪被害者支援室を設け,被害者及びご家族の支援を行っています。また,専門的な資格や知識を持った女性職員による支援,千葉県警察犯罪被害カウンセラーチーム=通称ACT(アクト)のメンバーによる支援も行っています。
② 公益社団やNPOなどの支援
 公益社団法人千葉犯罪被害者支援センター(通称CVS)やNPO法人千葉性暴力被害支援センターちさとによる支援があります。
CVSは,カウンセリングや事情聴取の付添,裁判傍聴などの直接支援も行っております。ちさとは,医療機関(国立病院機構千葉医療センター)を拠点とした民間団体です。病院併設であることから婦人科診療をただちに受けることもできます。相談後,警察には届けたくないといった被害者の意向に沿ったご相談にも応じてくれるとのことです。
③ 弁護士会(弁護士)による支援
 犯罪被害に遭った方のために千葉県弁護士会では電話による相談(30分無料)を行っております。また,法テラスによる被害者支援に精通している弁護士を紹介する制度の利用を通じて,弁護士による支援を受ける方法もあります。
 被害届の提出やマスコミ対応,加害者との示談交渉,刑事裁判や加害者への賠償請求などの法的な支援が考えられます。

3 支援に関する給付金や公費負担・援助制度の用意があること
① 犯罪被害給付制度
 殺人等故意の犯罪行為により,死亡された被害者のご遺族や,重傷病を負い,もしくは障害が残ることとなった被害者に対して,国が犯罪被害者等給付金を支給する制度です。給付金には,ご遺族に支給される遺族給付金と被害者本人に支給される障害給付金,重傷病給付金とがあります。
② 各自治体による支援金
 自治体において,支援金等の支給を含めた犯罪被害者支援条例の設置が全国的に進められています。千葉県内での取組は,他の県や市と比べると未だ十分とは言えませんが,成田市や印西市など支援制度を条例として明文化している自治体は増えており,今後もこの流れは続くと思われます。
③ 公費負担や援助制度による支援
 犯罪被害にあった方が刑事裁判に国費で参加する制度としての国選被害者参加制度や被害者の方のご負担がない,あるいは少ない日弁連の委託援助制度など一定の資力要件を満たす方の援助制度なども充実して用意されつつあります。

4 まとめ
 犯罪被害者の支援については,従来見過ごされてきた分野であると言われております。被害者が刑事裁判に参加できる制度についても10年程度前から法律が整備され始まった制度になります。まだまだ不十分なところもあるかと思いますが,受けられる支援も数多く存在するようになりつつあります。
万が一の場合には,お一人で悩みを抱えずに専門家への相談も選択肢の一つにしていただければと思います。

以上

〔弁護士 相田敦史〕