かなで便り Kanade news

相続におけるかんぽ生命保険金の取扱いについて

2023.11.29 家族問題(相続・遺言、離婚)

 弁護士の樋口です。

 亡くなった方(以下「被相続人」といいます。)が自らを被保険者とした生命保険契約を締結していた場合,生命保険金が相続財産に該当するか否かは,以下のとおり整理されます。

 1 保険金受取人が被相続人であった場合 ⇒ 相続財産
 2 保険金受取人が相続人と指定されていた場合 ⇒ 相続財産ではなく,相続人の固有財産

 ただ,かんぽ生命保険の場合,同社独自の制度として「遺族制度」を採用しており(以下のURLのPDFをご覧ください),上記1の場合,相続財産として取り扱わない運用です。
https://www.jp-life.japanpost.jp/customer/procedure/assets/pdf/souzoku_tebiki.pdf
 現に,私が,遺言執行者として,保険金受取人が被相続人であった保険契約に基づく死亡保険金を受け取ろうとしましたが,かんぽ生命の窓口の方から「遺言執行者として受領できません。かんぽ生命が定める先順位の遺族の方が作成した同社所定の委任状等を提出してくだされば,死亡保険金を受領できます」と案内されました。

 一方,かんぽ生命の生存保険金(※死亡保険金とは異なります。)であれば,相続財産として取り扱うため,遺言執行者として手続を進めることができました。

 被相続人がかんぽ生命の保険契約を締結していた場合は,同社所定の遺族制度や保険金の種類に気をつけて,進めるべきです。