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東京大阪四会倒産法部共催シンポジウムに参加しました

2026.04.07 倒産・経営者保証ガイドライン

 東京三弁護士会と大阪弁護士会の四会の倒産法部は、共催で毎年シンポジウムを開催していますが、今年は4月3日に「危機管理型の倒産事件」をテーマに基調講演とパネルディスカッションが行われました。
 昨今、学校法人、医療機関、介護事業者等の許認可事業者の倒産事件が増加しており、耳目を集める案件も多いところです。これらの事業においては、許認可事業であるが故、運営事業者の倒産による社会的な影響を踏まえた、いわば「危機管理型」の対応が求められます。
 
 倒産事件では、公平・平等、債権者の扱いの公平性・衡平性が要請され、倒産に携わる法律家も常にそれを意識して事件処理を行っています。もっとも、危機管理型倒産の場面では、生命身体の安全等という高次の法秩序・利用者である学生等、患者、要介護者の保護といった考慮要素が存在し、上記の倒産事件の基本原則との整合性をどのようにつけるのか、実務家のバランス感覚が求められるところです。
 文部科学省の「私立学校・学校法人基礎データ」によれば、事業活動収入から事業活動支出を控除した残額が赤字の私立大学は約3割、私立高校は約4割に上るようです。また、2025年1月22日NHKニュース、同年3月13日NHKニュース、同年1月22日付帝国データバンク資料によれば、全国6割以上の病院が赤字となっているそうです。介護事業者についても、2025年1月9日東京商工リサーチ資料によれば2024年1年間の倒産が過去最多の172件となっています。

 今回のシンポジウムでは、学校法人の窮境原因や特殊性を踏まえた手続選択や法的整理(民事再生)に関する論点等や、医療と介護に関わる事業の倒産時に実務上生じる課題及び法的論点等が議論され、経験豊富な登壇者により様々な経験が報告され大変勉強になりました。
 私自身も、危機管理型倒産事件に携わる機会があり、今回のシンポジウムでの議論について実体験として悩んだ論点もありました。シンポジウムで気付かされた様々な論点について、今後の事件処理に活かしていきたいと思います。

〔弁護士 塩野大介〕