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民事裁判のIT化

2021.10.06 その他

 内閣官房日本経済再生総合事務局では,平成29年6月9日に閣議決定された「未来投資戦略2017」を受けて,裁判手続等のIT化に向けた検討会を同年10月より立ち上げました。
 これを受け,現在,各地の裁判所で民事裁判のIT化が進みつつあります。
 これまでの裁判では,争点を整理をするための手続として,弁論準備手続(民事訴訟法168条)が多く利用されてきました。同手続では,電話を利用した裁判手続(裁判所へ出頭せず,事務所等から電話で参加することができます。)が可能ですが,原告側又は被告側のいずれかが裁判所に出頭しなければなりません(電話での参加は片方のみしか認められません。)。
 遠方の裁判所へ出頭する場合には半日かかることもあることから,裁判所,原告側,被告側の予定を調整するのも一苦労で,裁判期日が近くで入らず先になってしまうこともありました。
 そのような中で,千葉地方裁判所本庁では,昨年からウエブを利用した争点の整理手続が導入され,この手続では,当事者双方がウエブでの参加をすることも可能となりました。これにより,裁判期日が入りやすくなった印象があります。
 また,電話での出頭と異なり,裁判官や相手の代理人の顔が見られるため,表情の変化等も感じることができます。
 次年度からは,支部でも民事裁判でのウエブ導入が予定されているようです。当事者にとって使い勝手の良い裁判になるのであれば,裁判へのITの導入も悪い話ではないように感じています。

〔弁護士 塩野大介〕