かなで便り Kanade news

弁護士の活動について(他の弁護士会との交流について)

2022.02.01 その他

 今月,札幌弁護士会の中の被害者支援を担う委員会(名称:犯罪被害者支援委員会)のメンバーと私も所属している千葉県弁護士会の被害者支援を担う委員会(名称:犯罪被害に関する委員会)のメンバー約35人でZoomを使っての合同勉強会を実施しましたのでご報告いたします。
 弁護士は,事務所を構える地の弁護士会に加入しなければなりません。
 東京のような大規模会では,3つの弁護士会があります。また,北海道は,地域も広大であり旭川弁護士会,釧路弁護士会,札幌弁護士会,函館弁護士会と4つの弁護士会があります。なお,千葉県は一つ,千葉県弁護士会があるだけです。
 勉強会では,それぞれの弁護士会の活動内容の報告や,実際に支援にあたった事例(守秘義務がありますので匿名,抽象化しての紹介にはなります)の紹介や意見交換などを行いました。
 その中には,千葉県の弁護士と札幌の弁護士が同一事件を役割分担しながら共同して担当したという事案もありました。
 犯罪事件は,事件が発生した場所(被害にあった場所)を管轄する警察が捜査をし,その後,裁判になった場合には,その場所を管轄する裁判所にて裁判が行われることが大半です。
 そうなると,被害者が旅行先やで被害に遭った場合や,ご家族は遠方に住んでいる場合など,被害地と被害者及びご家族の居住地が異なることもあります。
 報告があった事例も事件の発生場所は北海道で,ご家族などは千葉に住んでいるという事案でした。
 そうした場合に,捜査や裁判は北海道にて行われますので,捜査に対する協力や裁判への参加などの打合わせなどは通常,北海道の弁護士に依頼をすることになります。ただ,そうした場合,被害者及びご家族が遠方の弁護士事務所に出向く必要があり費用や労力のご負担が多いと思われます。
 そのため,被害者らに対する打合せや準備,説明などは,主に居住地である弁護士が担当し,裁判が実施される地の弁護士は主に捜査機関や裁判所との折衝などを行い,連携,共同して裁判にも参加(被害者参加)したという事例報告でした。
 費用面に関しても,国選の被害者参加事件として,裁判所が許可すればということにはなりますが,国の費用でいずれの弁護士の支援を受けることができたということでした。
 また,こうした事件を他県の弁護士と共同して担当するにあたり,円滑に進めるためには,やはり普段からお互いに顔が見える関係が大事であるといった議論にもなりました。
そうした関係構築を進めるため,私が所属する千葉県弁護士会犯罪被害に関する委員会では,今後,愛知県弁護士会や仙台弁護士会とも勉強会を行っていく予定です。
 このように,遠方の地で犯罪の被害に遭ったという場合でも,なるべく被害者及び関係者のご負担を少なくする形での支援を実現するという方法もありますので,そのような場合にも,まずは被害者支援に精通している弁護士に一度,ご相談をしてみることが肝要かと思われます。

〔弁護士 相田敦史〕