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新型コロナウィルス感染対策防止に伴う休業手当

2020.04.30 その他

  弁護士の樋口です。

  政府による緊急事態宣言を受け,新型コロナウィルス感染対策防止の観点から,事業活動を休止又は縮小されている方は多いと思われます。従業員の方々が新型コロナウィルスに感染しておらず,感染の疑いもないけれど,従業員の方々を休業させているケースがあります。このようなケースにおいて,従業員の方々へ「休業手当」を支給すべきか,検討しなければいけません。
 

  労働基準法26条は,「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合,「休業手当」として,平均賃金の60%以上を支払わなければならない,と定めております。「使用者の責に帰すべき事由」によらない場合,すなわち,不可抗力による場合であれば,休業手当の支払義務はありません。
 
  「使用者の責に帰すべき事由」は,使用者側に起因する経営,管理上の障害を含むと解釈されております(最高裁昭和62年7月17日)。 
  また,厚生労働省は,不可抗力による休業は,「①その原因が事業の外部より発生した事故であること」「②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること」の2つの要件を全て満たす必要がある,という見解です。
  厚生労働省は,上記①の該当例として「今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で,営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように,事業の外部において発生した,事業運営を困難にする要因」を挙げ,上記②に該当するためには「自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能か十分に検討しているか否か,労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか,といった事情を踏まえ,使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしている必要がある」という見解です。
  以上の最高裁解釈と厚生労働省の見解を踏まえて,「使用者の責に帰すべき事由」に該当するか,慎重に検討することになるでしょう。
 
 

  新型コロナウィルス感染対策防止の観点から,従業員の方々へ休業手当を支給された場合,「雇用調整助成金」を受給できるか,検討すべきです。
  雇用調整助成金は,「経済上の理由により,事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が,雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度」です。雇用調整助成金の申請書類やガイドブックは,以下のURLを介して,入手することができます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

  「雇用調整助成金」の範囲は,変更される可能性があります。現に,厚生労働省は,4月25日の時点で,雇用調整助成金の特例措置を拡大する方針を示しました。
  以下のURLからアクセスできる「【別紙】雇用調整助成金の更なる拡充について」によると,厚生労働省は,令和2年4月8日以降の休業等を対象として,対象労働者1人1日当たり8330円を上限とし,一定の要件を満たした場合に休業手当全体相当の金額を,雇用調整助成金として支給する方針のようです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11041.html

  雇用調整助成金を受給できるか検討する場合は,厚生労働省のホームページを確認して,最新の情報を入手してください。

  なお,新型コロナウィルスに関する様々な疑問について,企業向けではありますが,厚生労働省は,ホームページにおいて,見解を示しております。ご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q3-1