成年後見制度を見直す民法改正案について
弁護士の樋口です。
報道等でご存じの方もいらっしゃると思われますが、成年後見制度を見直すべく、民法が改正されようとしています。
2026年に入ってからの動きとしては、以下の①と②のとおりです。
① 1月27日、法制審議会民法(成年後見等関係)部会第33回において、「民法(成年後見等関係)等の改正に関する要綱案」が取りまとめられた。
② 4月3日、成年後見制度を見直す民法改正案を、政府が、閣議決定し、国会提出。
内閣法制局 民法等の一部を改正する法律案
現時点において、国会で成立していないようです。
成年後見制度見直しの背景としては、以下の4点等が挙げられます。
・終わらない(制度利用の動機となった課題が解決し、制度利用の必要がなくなったと考える場合でも、判断能力が回復しない限り制度の利用が継続する)
・広すぎる(本人にとって必要な限度を超えて、本人の行為能力が制限される場合がある)
・制約される(成年後見人等による代理権や財産管理権の行使が、本人の意思に反し、又は、本人の意思を無視して行われることがある)
・代わらない(本人のニーズに応じた成年後見人等の交代が実現しない)
上記「民法(成年後見等関係)等の改正に関する要綱案」通り改正された場合、法定後見に関する改正のポイントとしては、以下の4点が挙げられると思われます。
ア 3類型(後見・保佐・補助)が補助に1本化され、代理権や同意権をつける具体的な必要性が求められ、これまでの保佐や補助同様制度自体の利用と代理権・同意権をつけることへのご本人の同意が必要。
イ 制度終了の要件の1つとして、「制度利用の必要性が解消した場合」が加わる。
ウ 補助人の解任事由として、以下が加わる。
一 補助人が不正な行為をしたとき。
二 補助人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。
三 補助開始の審判を受けた者の利益のため特に必要があるとき。
エ ご本人の意向尊重義務を強化するため、以下のとおり、規定を改める。
① 補助人は、補助の事務を行うに当たっては、補助開始の審判を受けた者の心身の状態に応じて、その者に対し、その事務に関する情報の提供をしてその者のその事務に関する陳述を聴取することその他の適切な方法により、その事務に関する意向を把握するようにしなければならない。
② 補助人は、補助の事務を行うに当たっては、①に規定する方法により把握した補助開始の審判を受けた者の意向を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
国会で成立したとしても、通常、2年以内に施行とされることが多いため、直ちに対応しなければいけない、というわけではございません。
ですが、上記改正は大きな転換であることから、成年後見人等を担う立場として、早期の段階から、情報収集及び研鑽に努めてまいりたいと思います。








