かなで便り Kanade news

法廷弁護技術研修

2019.09.02 刑事

 弁護士の相田です。
 先日,2日間にわたって午前9時から午後6時過ぎまで千葉県弁護士会で実施した弁護士を対象とする「法廷技術研修」に講師の一人として参加してきましたのでご紹介をいたします。
 刑事裁判は,一般市民の方が参加する裁判員裁判制度の開始にともない弁護士にもこれまで以上に法廷における弁護技術が求められることになりました。
 弁護人は,職業裁判官のみが実施していた裁判と異なり,時間的・物理的にも制約がある一般市民の方も参加した裁判員裁判では,法廷のまさにその現場で,裁判官・裁判員に対して,見て聴いて理解をしていただく,説得をする技術が求められます。
 この「法廷技術研修」では,実際の事件を下敷きにした事例を題材に,ケース・セオリーの作り方,冒頭陳述,主尋問,反対尋問,最終弁論について,事前に記録を読込み,それぞれの冒頭陳述案等を準備したうえで,研修の場では各項目に関する講義を受け,次に実際に実演をし,これに対する改善点について講評を受けるといった研修です。
 また,研修の特徴の一つとして,研修での実演については,ビデオカメラで撮影し,受講者の挙動や話し方,テンポや伝わりやすさといったことを講師とともに確認するといったことも研修内容となっています。
 実際に実演をし,その場で講評をもらい,さらに次の実演につなげ,また講評をいただく,その過程を録画し,また見返す,なんともストイックでハードな研修となっています。
単なる座学にとどまらずにここまで理論的,実践的な研修は,弁護士会の数ある研修の中でもあまりない研修の一つであると思います。その分,実演をする受講生も大変でしょうが,準備をする講師陣の負担も相当なものです。
 今回は,大阪から後藤貞人弁護士,第二東京弁護士会から宮村啓太弁護士,ほかに加藤梓弁護士といった外部の講師陣をお招きしての研修となりました。特に後藤貞人弁護士,宮村啓太弁護士の両弁護士は,刑事弁護のスペシャリストとして全国に名をはせる実力と実績を兼ね備えた超一流の弁護人の先生方です。研修を通じて実感することは,尋問や弁論といった法廷活動・弁護活動は「技術」であること,その技術の存在を知り,その「技術」を日々磨き続けることの大切さです。
 こうした先生方と直接触れ合い刺激をいただき,私自身より良い弁護活動を行っていくことの気持ちを新たにできた貴重な研修となりました。