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死亡後3箇月を過ぎた相続放棄について諦めていませんか

2020.03.17 家族問題(相続・遺言、離婚)

 弁護士の相田です。
 今回は,相続にまつわる問題の中でも,一定数の割合をしめる相続放棄についてご紹介をしたいと思います。
 相続の問題が発生した際に,お亡くなりになった方にどのような財産があるのかが明確で,資産よりも負債が多いということであれば,相続放棄をすることにより負債に関する支払を免れる(=相続をしない)という方法があります。
 そのことにより資産も放棄することになりますが,借金を引き継ぐことは法的に無くなるといった,残された相続人にとって便利で簡単かつ強力な手続きとなります。
その一方で,相続放棄をすることが出来る期限については,3箇月といった制限の制限があります。
 民法915条は,「相続人は,自己のために相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内に,相続について,単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」と定めています。
「相続の開始があったとき」とは,通常亡くなったことを知ったときとなります。親族が亡くなった悲しみにくれる暇もなく,その方の資産や負債を調査の上,相続をするのか,放棄をするのかを限られた時間で決めなくてはなりません。
そうして調べてみたが負債はないと判断して相続をしたとします。
 ところが,死亡後3箇月を経た後に債権者を名乗る金融機関や人物から請求書などが届き,初めて多額の負債があったことが判明することもあります。
 そうした際に,もはや相続放棄が出来ないと考え,破産をするしかないのかと悲壮な覚悟でご相談にいらっしゃる方を私自身かなりの件数見て参りました。
 果たして,そうした場合,もはや破産するしかないのでしょうか。
 この点,実務上では,3箇月経過後であっても,それ以前にそうした負債の存在を承知することが出来ないやむを得ない事情があれば,家庭裁判所は相続放棄を認めてくれることが多いと思います。
 実際に私が担当したご相談やサポートさせていただいた事例では,相続放棄を認めてもらったケースが多く存在します。
突然多額の負債を相続することになり,自身がこれまで築き上げてきた財産(不動産や車,預貯金等)を失うことになるのではという恐怖により真っ青になってご相談に来られた方が,安心できたと安堵の表情をお見せになってお帰りになる姿を拝見しますと,私としても嬉しく思います。
なお,亡くなったことを知ってから3箇月という期間についても,調査のためにもっと時間が必要ということであれば,事前に期間を延長を申請する制度もございます。
 まずは,相続に関して悩んでいる,あるいは実際に問題にぶつかった際には,専門家にご相談をされてみてはいかがでしょうか。