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保釈中にGPSを装着させる改正刑訴法が成立しました

2023.05.15

保釈された際の被告にGPS端末を装着させる制度の導入などを盛り込んだ改正刑事訴訟法が5月10日参院本会議で可決成立しました。
改正法は、裁判所が保釈許可時に海外逃亡を防ぐ必要があると判断すれば被告にGPS端末の装着を命令できるようになります。
公布から5年以内に実施されます。
改正法は、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告のように保釈後被告等の海外逃亡を防ぐことを狙いとしています。これまで逃亡を防ぐ手段として、保釈保証金というお金を事前に裁判所に預けさせて、万が一逃亡した場合は、没収するという制度がありました。しかし、こうした取組では十分とはいえないということからこれまで議論を重ねて、今回成立となりました。
あわせて、正当な理由がないにもかかわらず裁判期日に出頭しない場合に適用する不出頭罪や、保釈時に定められた住居に居ない者を処罰する制限住居離脱罪も新設されました。
また、被告の生活状況などを報告する義務を負う「監督者」を選任できる制度や、あわせて保釈保証金とは別に監督保証金を納めるような制度も作られました。
このように、保釈にあたって被告人にはこれまで以上の負担が求められることになります。
しかし、一方で、上記施策により逃亡することの脅威も低下したはずであり、人質司法と呼ばれ諸外国から非難を浴びてきた不必要な身柄拘束や長期化についての改善もあわせて求められることになると思います。
【弁護士 相田敦史】